新疆ウイグル自治区問題とは何か?できることは何か?

今回は新疆ウイグル自治区についての記事を書きました。

ウイグル問題とは、中国がウイグル人に向け行っている「非人道的な弾圧(虐殺)」のことを指します。

中国は56の民族から成る多民族国家です。そのうち漢族が92%を占めており「中華民族という一つの国民概念を有する」という考えが根底にあります。このため、残りの少数民族たちは漢族の思想を持つよう強要され、中国の思想に反する人がいれば、弾圧しても正当な行為だと肯定されてしまうのです…

さらに、①司法 ②立法 ③行政 の三権が中国共産党に集中しており(一党独裁)、だれも共産党に刃向かう事ができません。

権力が肥大化した中国で、現在どのようなことが起こっているのでしょうか?

新疆ウイグル自治区とは

新疆ウイグル自治区

新疆ウイグル自治区は、中国北西部に位置しており、面積は165万km²と広大で、中国の6分の1を占めています(日本の約4.5倍)

ウイグル自治区の総人口は1,900万人で、イスラム教を信仰するトルコ系住民「ウイグル人」が多く住んでおり、希少金属などの天然資源が多く埋蔵されています。

新疆ウイグル自治区は、1955年に中国の自治区となりました。

中国が支配する以前は、東トルキスタン共和国が2度独立しては崩壊しました。第1回目はソ連によって壊滅させられ、第2回目に中国に支配され、現在に至ります。

ちなみに「新疆」とは中国語で新しい土地を意味します。これは、中国がかつて「清」だった時代に、ウイグル人から得た新しい土地という意味です。自治区とは「そこに住む人々の自治を認める地区」という意味です(あくまで建前ですが…)

なぜウイグル人は迫害されるのか

中国がウイグル人を虐殺、迫害する最大の目的は、中国の領土(資源)、利権を守るためです。

もし、この地がウイグル人による独立運動で、中国から切り離されると「一帯一路」の計画が失敗に終わってしまいます。だから、ウイグル人を弾圧し、文化もろとも中国へ取り込もうとしているのです。

さらに、中国にはモンゴル自治区や、チベット自治区など、様々な違う民族が暮らす地域があります。この内どこかで独立運動が起きると、すぐに周辺へ飛び火してしまう可能性が高いため、警戒を強めているのです。

「一帯一路」構想

ウイグル人の起源

ウイグル人は4世紀~13世紀にかけて活動した遊牧民である突厥(チュルク)の末裔です。10世紀頃にイスラム教が伝わり、現在においても多くのウイグル人がイスラム教を信仰しています。

ウイグル人はカザフスタン、キルギス、ウズベキスタンなどに居住しており、他の国はすでに独立国家として認められています。

しかし、新疆ウイグル自治区だけは、まだ中国によって支配されているため、独立が認められていません。

民族や宗教、文化の違いから、かつて存在していた「東トルキスタン共和国」を取り戻したいと願う人が現れるのは当然な流れです。こうした人々が団結して、大規模な抗議デモが起こり、その一部が過激なテロへと発展しました。

中でも有名なテロは、2014年4月に起こった、ウルチム駅爆破事件です。この事件をきっかけに、習近平によるウイグル人弾圧は、激しさを増していったと言われています。

中国の弾圧をジェノサイドに認定

この弾圧に対し、米国は「かつてナチス(ドイツ)が行ったユダヤ人迫害に匹敵する行為だ」としてジェノサイドに認定しました。

V・E・フランクルの著書「夜と霧」や、ドキュメンタリー映画「ナチスの強制収容所」に記録されている虐殺、迫害が今この瞬間にも起きているのです。

さらに、この問題の背景には「一帯一路を通じて世界の覇権を得たい中国」vs「米国をはじめとした開かれたインド太平洋」という構図があります。つまり、アメリカは世界の覇権を守るため、中国の国力を削ぎたいのです。そのためにウイグル人の弾圧を皮切りに中国を非難しているのです。

では、どのような非人道的で酷いことが行われているのでしょうか…

私の身に起きたこと~とあるウイグル人女性の証言~(漫画)

ウイグル人を取り囲む監視社会

まず中国と聞いて思い浮かぶのは監視社会ということでしょう。

中国では監視カメラがすでに27億台 設置されています(1人辺り約2台の計算)
その中に「スカイネット」と呼ばれる、顔認証機能付きカメラが、2億台設置されています。

中国国内は、共産党がインターネット規制をしているため、世界で誰もが使えるFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSが使えません。使えるのは、共産党によって検閲されているWeChatやWeiboのみです。

さらに「社会信用システム」によって、全国民は国によって採点化され、順位付けされています。

こういった中、中国政府は2017年7月から、新疆ウイグル自治区に住む住人に対して、監視アプリ「浄網衛士」のインストールを強制しました。

このアプリをダウンロードすると、携帯のSIM情報、Wi-Fiの利用状況、SNSの発言、WeChatでの会話、友好関係などが全て、中国共産党に把握されます。さらに、住民は国による健康診断を強要され、血液、DNA、虹彩、さらに先祖の情報や、臓器提供に関する情報までもが、中国当局のサーバーに、ビッグデータとして管理されます。

こういった監視から逃れるために、国外へ逃げようとしても、ウイグル人はパスポートを中国当局に没収されているので、国からの許可が無ければ国外へ行くこともできません。

さらに、イスラム教の歴史や文化を調べることも、ウイグル人同士で集まって暮らすことも、ウイグル人同士で結婚することでさえも反社会的行為と見なされ、再教育施設へ収容されるのです。

中国「完全監視社会」の実験場、新疆を行く―WSJ―

ウイグル人の再教育施設

中国は、ウイグル人によるテロを防ぐ対策として、多くのウイグル人を「新疆ウイグル再教育キャンプ」に強制収容しています。

中国に暮らすウイグル人は1,000万人以上おり、この強制収容所には100~200万人が収容されていると推測されています。ただこの数字はあくまで推測にすぎないため、正確な数字は分かりません。ウイグル人権運動家であるラビアさんは500万~700万人の人が収容されていると推測しています。

この再教育施設では、共産党の行う洗脳によって、中華民族であるという意識を、無理やり植え付けられます。

再教育施設では中国語以外を話すことができません。ウイグル女性に対する大規模な不妊手術の強制や、拷問、悪条件下(長時間・低賃金・過酷)での強制労働など、様々な非人道的行為が報告されています。

生還者オムル氏の証言

両親の住む実家を訪ねたところ、いきなり武装警察がやってきて、袋を被せられ、手足を縛られて連行された。その後、4日間にわたって激しい拷問が始まった。そこでは、両手を吊るされて汚水タンクに首までつけられる拷問や、寒い夜中に水をかけられて凍えさせる拷問があった。拷問を受け同じ部屋に収容されていた2人が衰弱死した。拷問の後は再教育施設に送られ、3ヵ月間、鎖で繋がれた状態で過ごした。小さな窓しかない12㎡ほどの部屋に50人が詰め込まれた。食事もトイレも就寝も再教育も、全てその狭く不衛生な部屋で行われた。 午前3時半に叩き起こされ深夜0時過ぎまで再教育という名の洗脳が行われる。 早朝から一時間半にわたって革命歌を歌わされ、食事前には「党に感謝、国家に感謝、習近平主席に感謝」と大声で言わされた。 収容者同士の批判や自己批判を強要される事もあった。「ウイグル人に生まれてすいません」「ムスリムで不幸です」「私の人生があるのは党のおかげです」収容されている部屋からは、毎週4、5人が呼び出され、二度と戻って来なかった。拷問に慣れ、痛みも感じなくなり、このまま死ぬのだと絶望した…

 
携帯電話で撮影された強制収容所の様子

日本国内のウイグル人

日本国内には2000~3000人のウイグル人が住んでおり、大半が留学生です。この日本に滞在するウイグル人は、中国に帰国するとスパイと認定され、再教育施設に収容されてしまいます。

だから日本の政治家たちに、日本国内のウイグル人を助ける「特別法」を作って欲しいと要求しています。内容は、臨時奨学金制度の導入や、ビザ更新手続きの延長などです。

また、日本もきちんと中国に対して弾圧を止めるよう声明を出して欲しいと言及しています。日本として正式な声明を出すことが、国際社会からの注目をより集め、弾圧を抑制する力となるのではないでしょうか。

ウイグル人の臓器売買

中国の臓器売買ビジネスは、年間3兆円もの売上があると言われており、その背景には「ウイグル人の虐殺」という、信じがたい事実があります。

中国では1984年に「死刑囚遺体・臓器を利用するための暫定的規定」が施行されました。これは、身元引受人がいない、または家族及び本人が反対しない場合、死刑囚の臓器を医学進歩のために利用してもよいという規定です。

この規定のせいで、地方司法当局が賄賂を得るために、本来死刑にならない人を死刑にするという悪行が横行していました。さらに、子どもが失踪し、帰ってきたときには腎臓が一つ無かったという事件や、臓器や眼球が奪われたバラバラ遺体が発見される事件など、まさに無法地帯と化していました。

さすがに見兼ねた政府は、2007年に「人体移植条例」を導入しました。これによって①臓器売買の禁止(無償のみ) ②配偶者か3親等の血縁関係があること ③外国人に提供しない事が定められました。

こうして、死刑執行は大幅に減りましたが、死刑囚の臓器を利用する事は続いていました。

やがて、国際社会からの風当たりが強くなると、中国は死刑囚の臓器を完全に利用しない方針を発表しました。そして、2015年以降、いっさい死刑囚の臓器を利用していないと中国は述べています。

しかし、その後も中国の移植手術件数は、なぜか順調に増加しており、全く辻褄が合わないと、NGO組織「強制臓器奪取に反対する医師の会(DAFOH)」の会長は述べています。

2015年~2018年までの中国の臓器提供件数は、2766件、4080件、5146件、6302件に達した。2018年、臓器提供件数は世界第2位となった。臓器移植件数は2万件を突破、手術件数も世界第2位となった。-人民網日

2017年の米国と比較してみると、米国はドナー登録1.4億人に対し、臓器提供が実施できた件数が1万284例。対する中国はドナー37.5万人に対して1.6万例。並べてみると、いかに不自然な数字か一目瞭然です。

肝臓移植の待ち時間(中国・米国・英国)

このあまりに不自然な中国の移植手術…ここに提供されている臓器の多くが、再教育施設に強制収容されているウイグル人の物なのです。

イスラム教徒の臓器は、豚肉や酒を飲まないため「清い臓器」とされ、特に重宝されています…強制収容所に入れられた人の安否は家族でさえ知ることができません。死んだことが分かっても、火葬したという連絡が1本来るだけです。家族のもとに遺体は戻って来ません。さらに収容所近くには必ず移植医療施設が建てられています。

世界では死んだ者が臓器のドナーとなりますが、中国では人を殺してドナーにするのです。

 

中国の駐英大使「ウイグル人弾圧を全否定」

ウイグル問題に対してできることは何か?

ウイグル問題に対して僕たちができることは何か?

それは、まずは知ること、そして自分で考え行動することだと思う。

こうした動きが世界の時流を形成し、日本の著名人、政治家の考えを傾かせ、弾圧を無くすことへ繋がるのではないか、ウイグル問題に関する活動がしやすくなるのではないか、一人一人の思いが蓄積され、理不尽な運命を覆す原動力になるのではないかと思う…

さいごに…

人間は本当に最低で愚かな生き物ですね。自分の利益しか考えれないのです。僕もこの事実を知った上で何か行動を起こすわけでもない。同志を募り、交渉能力をつけ弱い立場の人を助けようとなんてしない。結局、可哀想だな…で終わりです。

かつての虐殺が繰り返されている事を知っても、口を動かすことしかできない。4,200㎞離れた遠い土地のことなんて関係ない。みんな自分が良ければそれでいいのです。

それでも中途半端に口を揃える。やめるべきだ、可哀想、何か出来ることがしたい、行動しよう、世界に平等を…

しかし、そもそもこの世に平等など存在するのか?理不尽ではないことが存在するのか?

「世界は平等であるべきだ」と言う思考は、無知からくる考えではないか?

この瞬間にも飢えと戦う子ども、適当な医療を受けれない人、教育を受けれない人、地球温暖化で沈む国、住む国が無い人…

この事実を知りながら…先進国の傲慢な暮らしの裏にある犠牲を知りながら、何もせず日本で暮らしている自分に、世界の平等を求める資格があるのか?自分も利益を得るために生きているだけではないのか?

巨大な中国を批判し、制裁を課して距離を置くことが「善」なのか?見て見ぬ振りをして友好関係を築くのが「悪」なのか?

 

政治は自然界と同じ弱肉強食の世界だ。弱者は敗者となり強者に従属させられる。これが遥か昔からの仕組みである。

結局、これが世界というものではないのか。これが資本主義の本質ではないのか。これが人間という動物の本性ではないのか?

米国も、中国も、我々も、単なる力の信望者に過ぎない。国際政治の本質は強者の論理で動く。

力のあるものが、階級社会という制度を作れば、それは認められる。差別も植民地も認められるし、人を殺すことも肯定される。弱者が弱者のまま尊敬される社会は存在しない…

それでも僕は思う…中国はウイグル人の弾圧をやめるべきだと。一部の人間に権力が集中している世界はおかしいと。かつてナチスが行った虐殺を繰り返してはいけないと。人権を尊重するべきだと…

なぜか?それは僕たちが人間だからです。虚構を信じることができる生き物だからです。

 

END

 

参考文献


Noteで読むウイグル問題の漫画

 

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