GOLDが史上最高値を更新した背景『金の持たざるリスク』

  • 2020-07-27
  • 2020-09-09
  • 商品

ゴールドが史上最高値を更新し、世間からの注目が集まっています!ということで今回はゴールドの価値や相場の状況についてまとめてみました!

なぜゴールドの値段が上昇しているのか?

GOLD/USD 週足

コモディティ市場では、9年ぶりにゴールドが史上最高値を更新したことが話題になっており注目されています。なぜ今、ゴールドが買われているのでしょうか?
そこには様々な理由がありますが、ズバリ法定通貨の金利低下が一番の理由として考えられます
コロナショックを受け、世界中の中央銀行は政策金利を低く設定し、経済の安定の名の下にたくさんのお金を印刷し、市場に供給しました。その結果、アメリカの実質金利は−0.7%台まで低下しています(インフレヘッジ付き10年国債利回り参照)これは米国のインフレ率がドルの金利を上回っている状態を指し、1年間でドルの価値が0.7%減少してしまうことを意味しています。
金利が低下すると言う事は、通貨の価値が減少することになるので、この法定通貨の価値の減少から資産を守るための手段として、ゴールドが買われていると言うことです
ここで、なぜゴールドが選ばれるのか?と疑問が湧きます。次章からゴールドの価値とは何か?についてみていきます。

米10年インフレヘッジ付き国債 vs GOLD

ゴールドの価値とは

ゴールドを持っていても、法定通貨のように金利が貰えることはありません。(厳密に言うと金の貸し借り市場があるため金利は発生しますが…)それにも関わらず、なぜゴールドが買われているのでしょうか?ゴールドの価値とは一体なんなのでしょうか?それを一言で言い表すと”信頼”と言う事ができます。

歴史

まずは簡単な歴史から!金が使われだしたのはいつなのか?これにはたくさんの考察があり、考古学者の間でも考えは一致していません。しかし、紀元前3600年頃の古代エジプトで、主に王様の装飾品として使われていました。誰もが魅了される金の輝きにより、最古から富の象徴として用いられていたと言う事ですね。なんかロマンを感じますw中でも紀元前1300年頃に作られたツタンカーメンの仮面は、誰もが知っているのではないでしょうか。通貨としては紀元前700年頃に、リディア王国で初めて使用され始めました。
このように金の歴史はとても長く、現在においても世界的に価値があると認められています。少なくとも通貨としての歴史は2700以上あることになります。それに対して、現在の法定通貨制度の始まりは1971年のニクソンショックからです。裏付け資産が金から信用へとシフトしてから、まだたったの50年しか経っていません

金は無国籍の通貨である

金は無国籍の通貨であると考えることができます。私たちは毎日、日本の法定通貨である円を使って生活しており、円の価値は日本国の信用力によって支えられています。円は価値が安定しているため、考えにくいかもしれませんが、もし日本の信用力が低下し、円の価値が暴落することになると、私たちの資産も減少してしまいます。
つまり、各国の法定通貨は、その国の信用力に左右されます。しかし、ゴールドはどこかの国が発行しているわけではないので、どの国の信用リスクの影響も受けませんつまり発行主体の存在しない通貨と考えることができるのです。こんなに素晴らしいものは他を探しても、そう簡単に見つけることはできません。

埋蔵量(発行量)が決まっている

金は世界で採掘できる量が決まっており、この希少性も価値の源と考えられています。対するドルの発行上限はありません。特にコロナショックを受け、米国のM2(貨幣供給量)が急拡大しています。市場への供給量が増えると、価値の低下を招くと言う事は自然な考えです
それでは、ゴールドの供給量はどうなっているのでしょうか?人類史上ゴールドは約18万t採掘されたと言われており、よくある例えで、東京オリンピックプール3.5杯分に相当する量と言われています。対する残りの埋蔵量は5万tと言われており、残り約プール1杯程ということになります。こう聞くと、案外少ないと感じる人の方が多いのではないでしょうか。
ゴールドは年間で3300t程採掘されており、この計算でいくと、残り15年で掘り尽くしてしまう計算になりますwしかし、これは現在の採掘技術に基づいた計算なので、技術がより発展すると変わる数字なので注意が必要です。なにはともあれ、法定通貨のように無限に印刷することは不可能です。

ゴールド採掘量の推移と埋蔵量(USGS参照)
米国M2 vs GOLD

価値の保存ができる(インフレヘッジ)

また、ゴールドをポートフォリオに組み入れることで、インフレに対するヘッジをかけることができます。これは不動産市場や、株式市場にも当てはまることですが、ドルとゴールドの2つに絞って考えてみます。
インフレとは主に物価の上昇を指し、通貨価値の減少を意味します。ドルの価値が減少するということは、相対的にゴールドの価値が上がるということになります。
極端な例を上げると、1900年の日本ではお米10kgを1円で買うことができました。しかし、2020年では4590円を出さないと10kgのお米を買うことはできません。これは1円の価値が120年前と比べ4590分の1にまで低下したということになります。もし、ここで世界共通の価値を保有するゴールドを持っていれば、こうしたリスクを回避し、当時の価値を保存しておく事ができるということです。日本という安定した国では感じにくいかもしれませんが、デフォルト危機に陥っている国などでは法定通貨が暴落するため、ゴールドの価値がより発揮されます。こう考えると、ビットコインと言った暗号通貨の価値も理解しやすいのではないでしょうか。

GOLD VS 米消費者物価指数 VS ドルインデックス

市場の動向

ここまで金の歴史や、主観的なゴールドの価値について書いてきましたが、ここからは市場参加者の動向を見ていきます。金の価格はまだ上がるのでしょうか?それともここが天井なのでしょうか?
ゴールドの取引市場では採掘会社といった商業筋をはじめ、世界中央銀行、保険会社、年金基金、ヘッジファンドや個人トレーダーに至るまでの幅広い層の参加者が存在します。その参加者の行動を読み取っていくことで、大まかな流れをつかむことができます。

金利市場の動向

まず一番注目されるものとして、米国の10年国債を見てみます。2020年7月27日現在、米国10年国債利回りは0.581%となっており、史上最低の利回り水準となっています。ドルの短期先物市場である30 Day Federal Funds Futuresの推移では、2021年8月物がマイナス利回りとなっており(100を超えている)、市場はドルのマイナス金利に警戒している(織り込みに行っている)と言う感じです。

米国10年債利回り VS ゴールド
30 Day Federal Funds Futures推移

先物市場の動向(オプションを除く)

続いてCOMEX先物市場のポジション動向を見てみましょう。
コロナショックによる現金化の動きから、取り組み高は減少傾向にありましたが、足元では再び増加傾向にあり、資金の流入を伴った上昇となっています。
内部の動向では、1750〜1800ドルあたりで利益確定による調整が入った後、足元では再び新規ロングを伴った強い上昇となっています。これを見る限りでは、ゴールドの下値は限定的であると思います。

COTレポート内容
投機筋のポジション推移 & 取組高
CTAポジション推移
NON-REPORTABLE(小口)ポジション推移

ETF市場の動向

ゴールドETFの代表である、SPDRの内部状況も見てみます。
SPDRによる金現物保有t数は、増加の一途をたどっており、ETF市場でも資金の流入が続いています。ETFの資金は比較的中期的なポジションとして考えられているため、高値付近でも中期的目線の積極的な買い意欲が高い事が読み取れます

SPDR現物保有残高(t)

まとめ

以上、金利やポジション動向を見てきましたが、やはり史上最高値を更新しているだけあって、ゴールドを取り巻く環境は強いですね。特に金利の低下が意識されています。このようなことから、まだ上昇すると見ている参加者が多く、市場のコンセンサスは引き続き上昇で一致していくと思われます。
ここで一番してはいけないことは、値頃感からそろそろ下がるだろうと考え、ショートを入れていくことでしょう。
最高値を更新したことにより、ここからは未知の領域となります。というのも歴史と比較してここまで金利が低下し、各国の抱える負債が増えたことは無いからです。どこが天井なのかは誰にも分かりません
自分は強気の目線を継続しながら、引き続きドル、金利、ポジション動向などをチェックしていこうと思います。
個人的に、この強気のコンセンサスが崩れるのはバイクラなどの出来高を伴ったスパイクが発生しない限り終わらないと思ています。自分の中ではゴールドが3000$まで上昇してもおかしくないと思っており、理由は米国のM2の増加です最後のチャートはゴールドを米国のM2で割ったものです。こう見るとゴールドの上昇は始まったばかりだと思えてしまいますね。現在の価格は1930ドル、、さあこれからどうなるか楽しみです^^

米国M2(貨幣供給量) ÷ GOLD