ビットコインの勢いが止まらない。コロナショックを受け、今年の3月に4,000$まで急落したビットコインだが、気付けば18,500$で推移している。仮想通貨バブルと呼ばれた2017年につけた最高値が20,000$なので、市場参加者は驚きを隠せない。今回は、今盛り上がっているビットコインについて見ていこう。
なぜ今ビットコインなのか
なぜ今ビットコインが買われているのか?
コロナのパンデミックを受け、世界の経済は大ダメージを受けた。それを救済するため各国の中銀は市場へ大量のお金をばら撒いた。国民に直接お金を配布したり、中銀が直接企業の社債を購入したり、まさにヘリコプターマネーだ。そして通貨の供給量が増えたことにより、法定通貨の価値が低下し金利もゼロになった。さらに、国の借金が急増したことで「信用」も一緒に低下してしまった。この通貨価値の低下から資産を守るため、投資家達はあらゆる資産を購入せざるを得なかった。そういった資金が株式市場、GOLDに流れ込み、その一環としてビットコインにも流入したと考えることができる。
ドル供給量(M2) vs Bitcoin
さらにパンデミックを受け、再びビットコインの本質的価値に注目が集まった。ビットコインは発行主体が存在しない。だから何処の国のリスクにも左右されることなく自分の保有する資本の価値を守ることができる。国家に搾取されることもなければ、自国のデフォルトリスク、ハイパーインフレに苦しむこともない。
またビットコインは法定通貨のように人の手で増やすこともできない。さらにスマホとインターネットさえあれば何処にでも自分の資本的価値を持ち運ぶことができる。だからビットコインは「民主主義を代表する通貨」と呼ばれている。個人的には通貨と言うよりインターネット上の銀行と言ったイメージだ。
歴史を振り返ると現在の法定通貨制度が始まったのは1971年のニクソンショックからだ。裏付け資産が「金」から「信用」へとシフトしてから、まだたったの50年しか経っていない。この制度がこれからも永遠に続くとは限らない。財政政策や金融政策は所詮人間のすることだ。常に正しいなんてことは無い。
そして近い将来「IT」や「AI」と呼ばれる技術がより発展し情報のみのやり取りがより増えていく。いわゆるデジタル主義、データ主義、アルゴリズム主義といった変化を誰も止めることはできない。そして世界のボーダレス化がどんどん進み、国家が自国通貨に対して課税することが難しくなるかもしれない。その中で世界共通の通貨であるビットコインが新しい貨幣制度を刷新することも十分にあり得る話だ。ドルではなくビットコインの信用が勝る可能性もゼロではない。
このように考えると、ビットコインを持つリスクではなく持たないリスクも考慮すべきなのかもしれない。ビットコインは2100万枚しか発行されない。この限られた枚数を皆が取り合っている。だから今、値段が急騰している と言うのがシンプルな構図だ。結局の所ビットコインは単なる英数字の羅列に過ぎず、適正価格がいくらかなんて誰にも分からない。10年後にどうなっているのか楽しみなものだ。
ビットコインを取り巻く環境
ここからは、ビットコインを取り巻く指標を見ていこう。
株式・商品・金利 vs BTC
先進国の債務(GDP比)
米国実質金利(-0.8%) vs Bitcoin
USDイールドカーブ
ハッシュレート(計算能力)
CME内部動向
オンチェーン動向


マイナーの収益推移
#Bitcoin miner revenue is back at pre-halving levels.
Chart: https://t.co/Ao9DodRwqi pic.twitter.com/PwUHPaKz8L
— glassnode (@glassnode) November 18, 2020
相場観
ビットコインを取り巻く環境は強いと言える。この急騰の中で、デリバティブ市場の過熱感が見られないことは驚きだ。これはビットコインの現物市場が強いことを意味し、短期的な資金ではなく長期目線の資金が入ってきていることを意味する。
そして多くの人達が今考えている事は、ここで買うべきか?それとも売るべきかだ。しかし、この水準でビットコインを買う事が正しいかどうかを誰も答えることはできない。ただ2017年を教訓にすると空売りは避けた方が良いだろう。
ビットコインのような拡大市場では、値段の天井を予測することはとても難しい。なぜなら、新規マネーがどれぐらい流入するのかが分からないからだ。つまり、ここからは普段機能していた指標が全く役に立たなくなる。バブル相場では初心者が強く、恐怖相場では経験者が強いとはよく言ったものだ。
だから基本的には移動平均線などのテクニカルを見て落ちたところを拾うのが無難だろう。あとオプション市場からも分かるように、インプライドボラティリティが80と言う値動きの荒い展開となっている(1週間で11%のボラ)。大きいポジションを持つのであれば、リアルタイムで板と注文を見れる時じゃないと厳しい。あと、こう言った時にこそ相場の格言である「頭と尻尾はくれてやれ」と言う考え方が大切になるのかもしれない。急騰と急落は常に隣り合わせだ。
最後に
コロナが猛威を振るう中、米連邦準備理事会のパウエル氏は金融緩和を継続すると発言している。そして米国の株価指数は実体経済を無視して最高値を更新している。この実体経済が痛む中、最高値を更新し続けるのであれば、もう誰も株価を落とすことができない。それほど市場に資金が供給され過ぎたのかもしれない。多くの市場参加者が資産バブルの到来を予想するのも無理はないだろう。
まあ何はともあれ、ビットコインの長期的目線を失ってはいけない。今の値動きを見ているとずっと上がり続けるように思えるが、どこかで必ず調整は来る。それがいつなのかは分からない…😂しかし、少し見方を変えるとビットコインを持っている人はまだ世界でたったの2.4%程に過ぎないという分析もある。僕はビットコインに対してポジティブ側の人間だ。未来は誰にも分からない。
Presently 2.4% of the world population are HODLers of #Bitcoin. We are now broaching the early adopters phase.
You are very early on the curve.
User adoption is about to go exponential according to the adoption S-curve. This is why BTC will decouple stocks, and it is very soon. https://t.co/zX1hmZqNGB pic.twitter.com/uDYm2xWNBK
— Willy Woo (@woonomic) October 21, 2020
END